ミルキィローズVSキングギドラ20

201X年 円盤付近
「私の名前はタイター。」
マクフライ。」
朝比奈みくる、日本人です。」

聞いてもいないのに彼らは自己紹介を始めた。

水無月かれんです。」
「ミルクミル。」

「おお、キュアアクアミルキィローズ。お目にかかれて光栄です。プリキュアの伝説は23世紀においても不滅なのです。」

タイターと名乗った男が話しかけてきた。この男が3人のリーダーらしい。

「率直に言わせてください。あなた方は23世紀の未来から21世紀のパルミエを救うためにやってきた、と言いました。しかし、証拠が全くない以上あなたたちの言葉を信じることはできません。」
「確かにその通りです。キュアアクア、あなたと同じ立場であったならば私も同じことを言うでしょう。証拠をお見せします。」

タイターはそう言って、わたしに手を差し伸べてきた。握手してくれということだろうか?わたしも手を差し出し、タイターの手を握ろうとする。だが、わたしの手はタイターの手に触れることなくすり抜けてしまった。これはドラマやアニメでよくある…

「立体映像、21世紀の中盤に実用化されました。23世紀では当たり前の技術です。これだけではありません。まだまだ証拠としてお見せできるものはたくさんあります。場所と時間を変えてお見せしましょう。」

一瞬驚いてしまったが、これぐらいのことはナイトメアやエターナルの連中だってやっていた。別に未来の技術がなくてもできる。今度は朝比奈と名乗る女が話しはじめた。

「パルミエ王宮の謁見の間に、明後日の正午伺います。場所は分かっておりますので送り迎えは必要ありません。未来人の移動方法をお見せしましょう。」

王宮の場所、間取りまで分かっているというのは脅しの意味も込められている。抵抗は無意味、わたしたちに自称未来人の訪問を拒否する権利はないということだ。この童顔の朝比奈さん、顔に似合わず食えない女のようだ。

「お話は伺いました。ココ王、ナッツ王には取り次いでおきます。いいわね、ミルク。」
「むむぅ…しかたないミルね。」
「それではまた、明後日お会いするのを楽しみにしております。」

人好きのしそうなふわりとした笑みを残して朝比奈さんは消えた。タイター、マクフライの映像も消えた。ココ、ナッツ、ミルクそしてわたしはPGF現場指揮官に円盤の監視を引き継ぐと、馬(?)を乗り継ぎ急いで王宮へと戻った。

ミルキィローズVSキングギドラ19

201X年 円盤付近

後ろからひづめの音がしたので振り返ると、馬(?)に乗ってミルクがやってくるのが見えた。2人がけの鞍を馬(?)に載せて、迎えにきてくれたのだ。円盤は相変わらずアイドリングを続けている。こちらの呼びかけに答えてくれたが、それから何かアクションを起こす様子はない。

「かれん、迎えに来たミル。」
「どういたしまして。」
「本当に、何もなくてよかったミル。かれんが無事で、よかったミル。」
「ちょっと、ミルク。」

まださっきのことを気に病んでいたのだろうか、ミルクがしくしくと泣き出してしまった。ミルクを抱え上げ、抱きしめる。

「かれん、ごめんなさいミル。ありがとうミル。」
「いいのよ、ミルク。泣かないで。」

しばらくそのまま、わたしの胸でミルクは泣いていたが、やがて落ち着きを取り戻し、いつもの様子に戻った。わたしたちが本陣に戻るために馬(?)に乗ろうとしたとき、円盤がモールス信号を送り始めた。鐙に掛けていた足を下ろして、モールスを読む。

「かれん、何て言ってるミル?」
「我々はパルミエの皆さんと…話し合うためにやってきました。そういってるんじゃないかしら。たぶん…。」

「さすが知性のプリキュア。その通りです。我々は23世紀の未来から、21世紀のパルミエを救うためにやってきました。」

目の前に彼らはいた。突然、現れた。

プリキュアの資格

寂しくなんかないわ=寂しいです
私がやらなきゃ、ダメなのね=誰か助けて
二度と誘わないで=お願い誘って
私、なぜ、なれなかったの…=なる気マンマンです

かれんさんはこの話の後、急転直下でデレてアホの子になっていくのでした…。

やすらぎのキュアミント!

みなさんおひさしぶしです。Taimaiです。
BS11でプリキュア5の再放送が始まっていますね。実は中盤の話をほとんど見ていなかったりするので、とても楽しみに毎週見ています。

もうすでに4話時点でかれりん確執の伏線が張られていたり、2010年現在の、プリキュア5を知っている目線から見ると「おお、あれはもうこんな最初期から出てきていたのか」と驚くことがままあります。

しっかし、この初期のブンビーさんとGoGo以降のブンビーさんが同一人物だとは、GoGoから入った人は信じられないだろうな。だって私も信じられませんもん。まさかこの人が「プリキュアのリーダーになろう」とするなんて。

ミルキィローズVSキングギドラ18

201X年 円盤付近

わたしは円盤の近くで馬(?)を降りてPGF隊員に引き渡した。ここからはわたし1人だ。拡声器のスイッチを入れる。ファウーン。サイレンが鳴った。かなり恥ずかしい。顔が熱くなるのがわかる。気を取り直して、音量を確認しトリガーを引く。

呼び掛けはパルミエ標準語、日本語、英語、フランス語、そして最後にもう一度パルミエ標準語で行った。

パルミエ王国国王名で、円盤がパルミエ王国の領土領空を侵害していること。

当方は円盤に即時の退去を求めること。即時の退去がなされるのであれば、当方に攻撃の意志はないこと。

円盤の所属、名前、指揮官の名前を明らかにしてほしいこと。

事故等やむを得ない事情がある場合は救援の用意があるので申し出てほしいこと。

果たして、こちらの呼び掛けに応えてくれるだろうか。

しばらく円盤を見ていると、ライトが1つちかちかとまたたき始めた。長い発光と短い発光の繰り返し。モールス信号だ。同じ点滅を3回繰り返しているが、日本語にしてもアルファベットにしても意味が通じない。いや、もう1つわたしには思い当たるものがあった。つい先日制定されたパルミヤンモールス信号だ。あの信号の意味は…。

「(了解した)ナツ。円盤はこちらの呼び掛けを理解したようナツ。」
「それはよかったココ。でも、パルミヤンモールス信号はまだ制定したばかり、要員の育成もこれから始める「予定」ココ。どうしてあの円盤がそれを知ってるココ?」
「あとで直接聞いてみるナツか?とりあえず、かれんを呼び戻すナツ。」
「それはミルクが行きますミル。」
「たのむココ。」

ミルキィローズVSキングギドラ17

201X年 超時空跳躍母艦MOTHER 指令室

「カメラ、ズームします。」
「あれは、キュアアクアだな。こちらに向かってくる。」
「なん…だと?記録ではこの期間パルミエにプリキュア5はいないはずだ。だからこそ、ハイパーキャッチ光線でシロップを捕らえ、向こうとパルミエの行き来ができないようにしたのに。」
「落ち着け。予定外ではあるが、プリキュア5がいたとしても我々の怪獣が負けるはずはない。我々のコントロールする怪獣は無敵だ。」
「ふ…は。そうだな。少々取り乱してしまった。我々がここにきたせいで歴史がすでに変わりはじめているのかもしれないな。」
「そうだ。歴史は変わる。我々が変える。」
「あなたたち、まるでパルミエを滅ぼすみたいね。」
「おお、怖い顔をするな。分かっているさ。我々は悪の帝国を正しい道に導くためにやってきたのだ。滅ぼしにきたわけではない。」
「まあ、場合によっては少しお灸をすえてやるかもしれないがな。ハハハ。」
「スタジオに移動する。ホログラフカメラを準備しろ。」