人造ネコ 第13回 決戦!五十公野サンスポ!(4)

ネコとバッタンはふわりと飛翔し、山の斜面を滑るように移動する。
芝生の上をするりと滑り、競技場の外壁、その正面でさらに高く舞い上がった。
蒸気人間たちがよく見える。


「くたばれ!」


ネコが叫びと共に作業腕から光弾を放つ。
ごぉん、という鈍い金属音がして、青い蒸気人間が3体、胸の部分に大穴を開けて停止し、爆発した。


「あと10体か…やれやれ。」


高みから急降下しながら、ネコは次々と光弾を放つ。瞬く間に3体の蒸気人間と、
彼らの築いていた砲座が吹き飛んだ。
ようやく、蒸気人間たちが反撃を始め、機関銃の弾幕をはり始める。
光の尾が急降下しているネコと、バッタンを包み込む。
だがしかし、彼らの体に傷をつける前に、火線はバーリヤによって打ち消されてしまう。


「無駄だガラクタども。おとなしく死んでしまえ。」


さらに3体の蒸気人間が、ネコの放った光弾によって破壊される。残りの4体は相変わらず火線をこちらに向けている。
ネコとバッタンも急降下が終わり、地面に到達した。向き合う蒸気人間と人造動物。


「ネコよ、こやつらは私に倒させてくれるのだろうな?」
「はぁ?そんなわけは無いだろう、バッタン。」


作業腕から放たれたきらめきが、4体の蒸気人間たちに吸い込まれる。だが。
きん、という軽い音がした。光弾が弾かれた。蒸気人間もバーリヤを展開したのである。


「なんだと…!?」
「やれやれ。ネコよ、お前とて無敵ではないのだ。さ、道を譲りたまえ。あとは私が片付けよう。」


バッタンの4本足の先にある空気がゆらめく。
そして、身体の丸くなったほう、西瓜の皮の部分が小刻みに震え、ぶぅん、と低い唸りを上げ始めた。


「トッカン!」


次の瞬間には、バッタンは蒸気人間たちの後ろに立っていた。
そして、蒸気人間たちはその全てが、きれいな断面を見せて横一文字に分断されていた。
もはや、地面に転がっているのは、蒸気人間であった鉄の塊なのであった。


「たあいもないな。マイマスターはしかと見届けてくれただろうか?」
「ちっ…それにしても、このガラクタ人形、バーリヤを展開しただと?」
「まったく物騒なことだ。一体誰が作ったのだろうな?」
「わかんねぇな。まあ、ろくな奴じゃあないってことだけは、なんとなく分かるが。」
「そうだな。さあ、後は人間たちの仕事だ。マスターたちのところへ戻ろう。」
「やれやれ…。」