人造ネコ 第16回 人造動物!対!箕面未来!

 バッタンは真亜子たちの元に戻り、状況を伝えた。蒸気人間から「人質」を引き剥がして解放しようとしても、人質から蒸気人間の方に戻ってしまう。どうやら「人質」には逃げる意思がないようだ。あれは本当に「人質」なのだろうか。


「…確かにおかしいわね。蒸気人間と言えば手当たり次第に街を破壊する悪の権化、今までに意思の疎通ができた人間はいない。でもあの「人質」は蒸気人間と共に行動しているような…感じかしら?」

「(間)…蒸気人間と、あの女の子…なにか関係があるんでしょうか…。」

「そうなのかもしれないわね…。」


ネコと、「人質」を肩に乗せた蒸気人間との攻撃の応酬を双眼鏡で見ながら四分休符は言う。明智妹子に双眼鏡を渡して、次の対応を考える。

「とにかく、人質の確保が最優先。これは変えられないわ。もしあれが人質じゃなくて蒸気人間と何か関わりがある人間だとしても、危害を加えて今後情報を得られなくなったりしたらまずいもの。真亜子ちゃん、真名子ちゃん、ネコとバッタンに改めて命令してもらえるかしら。」

「はーい。」

「はぁい。」


バッタンが真名子に問いかける。何を考えているのかよくわからない丸い目玉が、この時は心なしか期待の色に輝いているように見えた。


「マスター、蒸気人間は破壊してよろしいでしょうか?」

「どうしましょう、少尉さぁん。」

「人質が確保できれば蒸気人間がどうなろうと関係ないわ。派手にぶっ壊して。」

「と、いうことでぇ。バッタン、派手にぃ、ぶっ壊してぇ。」

「かしこまりました、マスター。」


 バッタンは再びネコと蒸気人間が火線で応酬している場に割って入る。ネコの光弾は蒸気人間に確かに命中しているが、あまり大きなダメージを与えていない。蒸気人間の機関銃も全てネコのバーリヤに弾かれており、ネコは全くダメージを受けていない。戦況は膠着していた。


「で、アホ女どもはなんて言ってた。」

「命令、人質の確保。これは変わらん。」

「けっ。面倒だな。」

「ああ、だが、ガラクタは派手にぶっ壊していいそうだ。」

「そうか。」


2体の人造動物が、口の端を持ち上げて笑った。


「なんですの?ゴーレムが1体になったと思ったらまた戻ってきましたわね。まあいいですわ。まとめて破壊して差し上げますわよ!」