人造ネコ第15回 襲撃!大幹部ケルノノス!

 蒸気人間の出現を受けて、新發田16連隊では新發田鎮撫隊の出撃準備が行われていた。指揮車には初瀬川少尉と甲斐少尉が乗り込んでいる。甲斐はまた日本帝国陸軍の制服を着ている。それが初瀬川には非常に嫌味に見えた。

(あんたの身分は秘密なんでしょ?だったらそんなに堂々とその制服を見せびらかすんじゃないわよ、ったく。)
「さーて、子供たちは全員第二中で待機中らしいから迎えにいきましょう〜。」
「あー、はいはい。」
「「はい」は一回でしょ?初瀬川少尉。それに、あなたは今ぁ、私の指揮下にぃ、あるんだからぁ〜、命令を復唱してもらわないとぉ〜、困るのよねぇ〜。」
「はい、待機中の隊員を第二中学校に迎えにいきます。」
「うむ、よろしい!」
「・・・チッ。」

 指揮車は蒸気人間の出現した街の中心部を避け、緑町、新富町を通って駅前の新發田第二中学校付近に到着した。

「さーぁ、初瀬川少尉は子供たちを迎えに言って頂戴!いってら〜。」
「・・・はい。(絶対いつかこいつ泣かす)」

 淡いパープルのスーツを着て、伊達メガネを丸顔に装着した初瀬川が指揮車から降りた。新シ写陸軍の女子制服はズボンタイプ、おまけに初瀬川自身もぴったりしたパンツを普段ははいているのでスカートがかなり動きづらい。半分ロボみたいな動きだ。きっとあの性根の腐った帝国陸軍少尉は指揮車のなかから私のことをニヤニヤしながら見ているに違いない。そう思うと初瀬川は悔しくて泣きそうになった。四分休符30歳の屈辱である。

「清水園まんじゅう本舗の初瀬川と申します。蓼科先生はいらっしゃいますか?」

 守衛室で蓼科先生を呼び出してもらう。清水園まんじゅう本舗というのが迎えの者の符丁である。蓼科有香がすぐに真亜子たちを伴ってやってきた。

「ご苦労様です、初瀬川さん。工場見学の引率、よろしくお願いします。」
「ええ、こちらこそ。」