人造ネコ 第14回 Eko,Eko!大蔵修子!

「最近、県民陸軍が私たちのゴーレムを圧倒し始めるようになりましたの。」
「それは本当ですか、修子様!」
「嘘をついても仕方がないわ。御覧なさい。この前ゴーレムが最期に電送してきた写真よ。」


 そこに写っていたのは、高速振動刃をきらめかせながら今こちらに突進してくる人造バッタンと、その後ろで光弾を繰り出す人造ネコの姿だった。無論、NSGの面々にはネコとバッタンなどという名前だとは知る由もないが。


「戦闘用ロボット?いや、まさか…。」
「そう、県民陸軍もどうやらグリモワールを手に入れて、ゴーレムを作り出す方法を得たらしいわ。参ったわね。溝口公のグリモワールは全て私たち大蔵の、NSGの手中にあるはずなのに…。」
「大蔵さん、県民陸軍のゴーレムが本当に私たちのゴーレムより強いのか、この目で確かめてみたいわぁ。」
「物好きなのね、箕輪さん。好きにおやりなさい。」
「はぁい。NSG大幹部ケルノノスこと箕輪美香、行ってまいります。この世は全て高貴な少女たちのために。」
「この世は全て高貴な少女たちのために。いいこと、決して油断はしないことよ。」
「わかってるわよ、大蔵さん。いや、大幹部アザラク。」


箕輪美香は暗闇の中に消えていった。修子と数人の少女たちがその場に残されている。全てNSGの構成員、新シ写県の良家の娘たちである。


「全く、箕輪さんの独断専行には困ったものですわ…これだから成り上がり者は…。いいこと、大幹部ザメラク、大幹部アラディア。ケルノノスをバックアップしておやりなさい。彼女は引き際が分からなくて余計なことをしでかすかもしれないわ。しっかり見張るのよ。」
「理解しました、修子さま。この世は全て高貴な少女たちのために。」
「この世は全て高貴な少女たちのために。」
「2人が頼りだわ、頼んだわよ。」


「それにしても、なぜ私たち以外のゴーレムが…。いや、まさかNSGの中に裏切り者がいるのかしら…。まあいいわ。ケルノノスが県民陸軍のゴーレムを倒してくれれば、それで問題はなくなるのだから…。」


大蔵修子がスイッチを押すと、椅子がせりあがり地上にある修子の部屋に出た。窓からは西日が差し込んでいる。眩しそうに目を瞬いて机の上のスイッチを押すと、ブラインドが下りた。これまた新發田では珍しい、全てが自動化された部屋なのだった。