ふたりはプリキュア 又プラッシュ※又ター
「ひかりさん、今の見ましたか…？」
姉とその友人が光線を放ち、怪獣と怪人を退治したのを見て驚かない弟はいない。変身が終わってからの一部始終を見た亮太は、立ち上がってなぎさとほのかのもとへと駆け寄った。
「お姉ちゃん！今の、いや、っていうか何そのカッコ？！」
「ええと、これは、その…闇からの使者、キュアイエロー。」
「…闇からの使者、キュアブルー。」
「「ふたりは、プリキュア。」」
「だから、なんなんだよそれ！」
「プリキュアは、プリキュアなの！」
「亮太君、私たちも突然のことでなにがなんだか･･･。」
「ほのかさん･･･。」
けたたましいサイレンの音が響いて、白と黒に彩られた車、いわゆるパトカーがやってきた。巨大な怪獣と怪人、そして２人の少女が戦うという異常な現象を目撃したならば誰でも当然警察に通報するだろう。
「逃げるわよなぎさ！」
「うん！ほら、亮太も！」
「わっ、ちょっ、まっ！」
「ひかり！後は頼んだよ！」
「ええっ、そんな、なぎささん！」
面倒は避けるに限る。なぎさとほのか、そして亮太は若葉台公園を後にした。
適当に走ってたどり着いたのはあの川べりの土手だった。ようやく、なぎさとほのかは変身を解除した。衣服が一瞬にしてベローネ学院高等部の制服に戻る。
「説明してください、ほのかさん。プリキュアって何ですか。」
「･･･いいわね、なぎさ。」
「･･･うん。こうなったら、仕方ないわ。お願いほのか。」
３人は芝生の上に腰を下ろした。
「落ち着いて聞いてね。わたしとなぎさ、そしてひかりさんはこの間まで、闇から光の園、そしてこの虹の園を守る光の使者「プリキュア」だったの。希望の園、雲の園という世界で戦ったこともあったわ。」
「ちょっと待ってください、じゃあ、ずっとほのかさんとお姉ちゃん、ひかりさんはああいう怪獣とか怪人とかと戦っていたんですか？！」
「そうよ。わたしとなぎさが中学校を卒業するのと同じくらいの時期まで戦っていたわ。」
「どうしてそんな危ないことを、一体誰がやらせたんですか！」
「最初は偶然だった、たしかにミップルとメップルに頼まれた、でも決して、わたしたちはプリキュアを「やらされていた」わけじゃないの。この世界を、みんなを、そしてほかでもないこのわたしの自由な心を守りたかったから、それができるのはプリキュアだけだったから、だから戦ったの。今だって、そうよ。目の前で大切な人たちが、亮太君が、ひかりさんが傷つけられるのが許せなかった。そしてそこに守るための力があった。だから、変身した。」
「･･･じゃあ、また怪獣が出てきたら、戦うんですね。」
「そうよ。絶対、絶対負けない。」
「･･･僕も一緒に戦います。」
「そんな、無理よ！危険よ！」
「危険がなんだっていうんですか！ほのかさんは大切な人たちを守りたいって言いましたよね。僕だって同じです！僕だって、ほのかさんに傷ついて欲しくない！ほのかさんのことが大好きだから、ほのかさんのことを、大好きなほのかさんを、守りたいんです！」
「よぉ〜し、亮太、よく言った！それでこそあたしの弟！かっこいい！」
「もう、なぎさったら･･･。亮太君、告白はもう少しムードを作ってするものよ。」
「え、あ、う、そ、その。」
「わたしも亮太君のこと、好きよ。いきなり恋人は無理だけど、まずは友達から、ね？」
「ほのかさん！ありがとうございます！」
「ふふふ、ありがとうはないでしょ、友達なんだから。もう遅いし、帰りましょう、なぎさ、亮太君。」
「そうだねー。あたしもうお腹ぺこぺこ。」
「なぎさはいっつもそればっかりメポ。」
「そうなのカブ。」
「あんたたちねぇー！そうだ、カブキマン。あんたたち後で今の状況をちゃんと詳しく説明しなさいよ？いきなり巻き込まれて、何がなんだかさっぱりわからないんだから。」
「分かったカブ。まかせろカブ！」
亮太とほのか、２人の「友達」は夕日を背にして歩き出した。その後をついていたなぎさが、突然くるりと夕日のほうに向き直り、立ち止まった。
「なぎさ、どうしたメポ･･･？」
「･･･なんでもない。」
「泣いてるメポ？」
「･･･泣いてなんか、いないわよ。夕日が、目に沁みただけよ。」
「メポ･･･。」
美墨なぎさは泣いていた。決して弟がうまくいきそうだからといううれし涙などではない。亮太とほのかの姿に、自分のかなわなかった恋の思い出がフラッシュバックして、悲しくて、悔しくて、泣いていたのであった。
「どうすんのよキリヤ。あんた出て行くタイミング完全に逃しちゃったじゃないの。」
「･･･姉さん、ちょっと黙っててくれないか。」
「ﾌﾟﾌﾟﾌﾟ。まあ、頑張んなさいよぉ。」
♪Ｗｏｒｌｄ ｂｕｓｉｎｅｓｓ ｓａｔｅｌｌｉｔｅ♪ 寒天、広東、観音！家！ｔ（以下略）
