ミルキィローズVSキングギドラ8

西暦201X年 パルミエ王国

その星の異様な挙動に気がついたのは、王宮で暦を作るために毎日星を眺める役目の者だった。その星は突然空に現れた。そして瞬きもせず、白い光を放ちながら西から東へ滑るように移動し始めた。星は東から登って西に沈む。パルミエでもそれは同じことだ。

異様な星に気がついた人々が不安そうに空を見上げ、城壁の中も、王宮の中も騒がしくなる。このころにはわたしもミルクもその星を見ていた。

「UFO…。」
「ゆーえふおー、ミル?」
「UnidentifiedFlyingObject。空を飛ぶ正体不明の物体のことをわたしたちの世界ではそう呼ぶの。」

わたしたちの世界でのUFOの99%は見間違いだと言われている。空は人工衛星、山の稜線に沿って進む車のヘッドライト、飛行機などの多くの光で満ちており、それらを今まで見たことのない何かだと見間違い、思い込むのがUFO現象の正体なのだという。

しかし、このパルミエの夜空には星と街の灯り以外の光はない。見間違いようがないのだ。