ミルキィローズVSキングギドラ10

201X年 パルミエ王国 王宮

シロップは予定の時間を過ぎても来なかった。シロップといえども、空を飛んでくるのだ、天気によって少し遅れたりすることがあっても仕方がない。だが、昼が過ぎても、夕方になってもシロップは来なかった。何かあったのだろうか。ナッツが捜索隊を編成して城壁の外を捜索させているが、今のところ動きはない。

シロップは心配だが、もう朝から何も食べていないのでミルクと夕食をとることになった。夕食はカレーライス。パルミエ料理のシェフが春日野家のレシピを再現したもので、わたしたちがパルミエにやってきたときの定番である。味はシェフの好みが反映されているのか、春日野家のカレーよりも若干甘口だ。

カレーポットからルーをとり、ご飯にかけると香ばしい香りがする。普段であればこの香りがまた食欲を誘うのだが、シロップのことを思うとその香りも精彩を欠いてしまうのだった。

「やっぱり、あの円盤のしわざミル。そうとしか考えられないミル。」

シロップが遅れたことが今までなかったわけではない。やはり風や天気が悪ければ飛べないこともある。それでも、ここまで遅れることはなかった。それならば今までと違う、何か別の原因で遅れていると考えざるをえない。可能性として浮上してくるのはやはり謎の円盤だ。カレーを食べて再びシロップを待つ。夜になっても、シロップは来なかった。

翌朝、捜索隊が持ってきたのはシロップ発見の知らせではなく、謎の円盤が着陸しているのを発見したという知らせだった。ココとナッツはただちにPGFに招集、待機の命令を出し、城内に触れて回るよう命令した。

招集したPGFの編成はココが行い、ナッツは先発隊を編成して自ら率い、詳細な偵察を行うこととした。この先発隊は後続してくる本隊に伝令を出して円盤の情報を伝えながら、その場に留まり本隊の到着を待つ。わたしとミルクもこの先発隊に加わることとした。