ふたりはプリキュア 又プラッシュ※又ター

 昆布出汁と小麦粉の混合液をひかりはバケツから柄杓を使って粉注ぎに移した。鉄板が十分に熱せられていることを確認して手早く油を塗る。そして粉を多めに流し込み、大きくぶつ切りにした蛸を手際よく粉に入れていく。続いて揚げ玉を入れる。かつん、かつん、かつん、と鉄板の端を錐で叩いてタイミングを取ると、くっついた粉を切り離し、ひょい、ひょい、ひょい、と錐を穴に入れひっくり返していく。ころころと形を整え、表面が均等に焼けた頃合いを見計らって舟に移す。あとはソースを塗り、青海苔をぱらぱらと、鰹節をどっさりと振り掛ければたこ焼きの完成である。
 ところがひかりは細ネギをトトトトトトと手早く刻み、たこ焼きにどっさりと乗せるとその上にぐるりとポン酢をかけた。

九条ひかりと九条ネギで、九条すぺしゃる完成しました!亮太さんにだけ、特別ですよ。」

 満面の笑顔で九条すぺしゃるを差し出すひかりに、亮太は「普通のがよかった」「どこかで同じようなメニューを見たことがある」なんて思っていても、口が裂けても言えるはずがなかった。代金をひかりに渡して九条すぺしゃるを受け取り、いつものパラソルの下に持っていく。

「なぎささんとほのかさんだったら、もうそろそろくると思いますよ。いつもそうですから。」

 鉄板に油を塗り直して、次のたこ焼きを焼きながらひかりは亮太に話しかけた。そう、ほのかのメールアドレスも知らない亮太がほのかに会う、あるいは話をするにはこうやってどこかで待ち伏せ、約束を交わしていれば待ち合わせをするしかないのだ。と、いうことで一番やってくる確率が高い(と思われる)ここタコカフェで亮太は待ち伏せをすることにした。ある意味健気な行動である。亮太は意識していないが、大抵の場合異性同性を問わず健気さを見せなければ好感は得られないものだ。

ほのかがまだこないのなら、と亮太は九条すぺしゃるをひとつほお張った。

「あ、おいしい。ひかりさん、おいしいです。」
「そうですか!ありがとうございます。でもアカネさんには内緒ですよ?こんないたずらばっかりしてたら怒られちゃいます。」

 ひかりは錐を持った右手をバンダナと額の境目に当てて、ウィンクをしながらぺろりと舌を出した。(ひかりさんって、無邪気でかわいいよなぁ…。)そう思った次の瞬間、亮太はむせた。

「お姉さん、たこ焼き一つ。マヨネーズ多めで…ああ、ボトルで置いてあるのか。」
「はい、お好みで好きなだけかけてくださいねー。って、あなたは、入澤さん?」
「クイーンの命がこんなことをやっているのか。意外だ。」
「闇の力の僕の人が高校生をやっているほうが意外です。お持ち帰りですか?」
「ここで食べていく。ふふ、確かにお互い様というところかな。」
「そうですよ。みんなが虹の園に集まる日がくるなんて意外もいいところです。はい、お待ちどうさまでした。」

さてここにもう1人、健気な男が現れた。